カタルーニャ独立問題

アスタラーダ

10月1日、スペイン・カタルーニャ州の分離独立を問う住民投票が行われました。
同様の住民投票は3年前にも行われましたが、この時は法的拘束力にない投票でした。
それに対して、今回は法的拘束力のある住民投票とカタルーニャ州は位置付け。投票が過半数を超えたら48時間以内に独立すると宣言していました。

スペイン中央政府は、この住民投票を憲法違反として中止を要請していました。しかし、カタルーニャ州自治政府は実施に向けて準備を進めたため、スペイン中央政府は投票箱の回収や投票所の封鎖のために警察などを動員しました。対する独立賛成派は、スペイン中央政府の妨害行為に反発し選挙所を占拠し、対立が激化しました。

独立選挙当日、スペイン中央政府は警察権力の暴力により投票を実行阻止に踏み切りました。これが大きな間違いでした。

事前の憲法裁判所で違憲判決が出ていたし、そもそもEUがカタルーニャの独立を支持するわけがないので実力行使する必要性はまったくありません。
欧州の民族問題に多少でも知識があればEUがカタルーニャ独立を認めないのは明白です。
例えば、カタルーニャのすぐ隣には同じく独立問題を抱えたバスク地方があります。バスクはつい最近まで「バスク祖国と自由(ETA)」が武装闘争をしていました(2017年4月に武装解除)。
カタルーニャ独立はスペインの国内問題ですが、バスクはスペインとフランスに跨がりますので、独立が盛り上がった場合フランスの国内問題でもあります
それ以外にもEU加盟国には、国内に民族独立問題を抱えた国が多くあるので、簡単にカタルーニャの独立を認めるわけがありません。

また、3年前の選挙では投票率が37%と低く必ずしも独立が支持されたとは言えませんでした。そのため、反対派を中心にプチデモン・カタルーニャ州自治政府首相の性急な行動には少なからず反発がありました。
それらを踏まえれば、選挙は実施させてもスペイン国内の世論やEUの対応からも独立阻止をできる環境でした。

しかし、ラホイ中央政府首相は、中央政府の警察権力によるカタルーニャ市民への暴力に出てしまいました。
武器も持たない一般市民への暴力の映像のインパクトは強く、SNS全盛の現在その行動は瞬く間に全世界へ発信されてしまいました。
ラホイ中央政府首相は戦略を間違い墓穴を掘った、と言えます。
この暴力に対してカタルーニャ市民はすぐにフランコ独裁政権での圧政を思い出したことが伺えました。

3日、バルセロナを中心にゼネストが実施されました。これは、中央政府の警察権力の市民への暴力に対してです。このため、参加したのは独立賛成派だけでなく反対派も含まれました。ここから既に、カタルーニャ人のアイデンティティーの高揚が感じられました。
それを静めなければいけない時期に、スペイン中央政府側は、また大きなミスをします。それが、翌4日に行われたフェリペ6世・スペイン国王が演説です。
国王との立場から、スペインとカタルーニャの双方に自制を促し、対話の促進を述べるべきところを、フェリペ6世はカタルーニャを一方的に非難してしまいます。

当然、カタルーニャ側は反発。
中央政府の暴力と国王がカスティーリャ側に付いたことにより、今まで独立反対していたカタルーニャの少なくない市民が独立賛成に意識が変化した状況となったようになりました。
このようにカタルーニャ独立問題は、選挙前には予想できないほどの混乱をきたしています。

今後、スペイン中央政府がより一層圧力を強めた場合、カタルーニャにETAのような武装勢力が生まれる可能性がないとは言えません。そうなったら、もう修復不可能。
その前に、対話で解決されることを願っています

カタルーニャのフランコ独裁政権時代の圧政については、サッカー側からの視点ですが、この書籍「バルサ、バルサ、バルサ!」がわかりやすいです。
残念ながら書籍は絶版になっていますが、私の読後の感想をアップしています。参考にしてください。
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