ビジョンなしのハリルホジッチ日本代表監督解任!

ヴァヒド・ハリルホジッチ監督解任会見

デイリースポーツのリーク

ヴァヒド・ハリルホジッチ監督解任のスクープを見たのは、JFA正式会見当日の午前1時頃のtwitterが最初でした。
しかも、それを報じたのは「デイリースポーツ」だったのが驚きでした。
通常サッカーには力を入れていないデイリースポーツですし、その後に新聞、テレビなど大手メディアが続いて来なかったので、ガセネタと思っていました。
昨今、日本代表が負けるたびにヴァヒド監督解任記事が出るので、その類の記事と考えていました。

しかし、9時過ぎになって大手メディアが相次いで解任報道を出してきました。こうなると、単なるガセネタと無視するわけにはいかなくなります。
その後11時くらいに、JFAから16時に会見が行われるとの報が入りました。この時点で、テーマがヴァヒド監督の解任というのがほぼ確実となりました。

ところで、このスクープがサッカーに力を入れているスポニチやニッカンではなく、デイリースポーツだったのには隠された大きな意味があったはず
残念ながら、この点を探っている記事がないのが残念です。
競馬、風俗、阪神が売りでサッカーでは報道力ないデイリースポーツが、こんな大きなスクープを取れるはずはありません
どこからかのリークがあったと考えるのが自然です。

会見で田嶋会長は、「数多くの関係者から意見を求めた。よく情報が漏れなかった」と述べています。
これの裏を読めば、JFAとつながりがある在京のスポーツ新聞は、報道規制を敷かれていたのではないかと私は考えています。
鉄壁の情報管理などできないJFA。サッカー取材にしのぎを削る大手メディアなら、当然JFAの動きは把握していたはずです。
そこで、ヴァヒド監督解任派は情報をリークしたら、その後のサッカー取材でペナルティを与えると脅しを与えていたのでしょう。
デイリースポーツの第一報から大手メディアが続かなかったのも在京のメディアに報道規制が敷かれていたのなら納得できます。

精神論の田嶋JFA会長の会見

16時から始まった田嶋会長の会見。
ガッカリ感と怒りが込み上げてきました

第1に、ヴァヒド監督解任後のビジョンがまったくないのが明らかになりました。
ヴァヒド監督解任に外部が知らない正当な理由があったにせよ、解任後の方向性がまったくないのでは話になりません

田嶋JFA会長は、二言目には「サッカーファミリーの力を合わせて…」との精神論に陥っていました。
今時、中学生でも理論がなく精神論だけで指導する監督、コーチがいたらバカにされます。
それをJFA会長が行っているのです。ガッカリ感しかありません。

また、後任の日本代表監督に西野朗氏がなると明言しました。
代表監督経験が豊富でW杯本大会の指揮も経験もあるヴァヒド監督ではなく、20数年前のU-23代表監督経験以外はJリーグ監督経験しかない西野新監督になると何故チームが良くなる確率が1%、2%も上げることができるのでしょうか?
明確な返答が田嶋JFA会長からはありませんでした。

どう考えても、ヴァヒド監督解任だけが目的で、それ以外は後付けです。

コミュニケーション不足連発で選手を犠牲に

会見の中で田嶋JFA会長は、何度も解任理由を「コミュニケーション不足」と言っていました。
これは、非常に狡い言い方です。

監督解任は会長権限なので、契約条項を遵守できなかったとか、協会との意見の相違と言うべきです。
選手との意見の相違と言ってしまうと、W杯本大会で結果が出なかった場合、ヴァヒド監督に反旗を起こした犯人探しが始まります
事実、既にメディアでは噂話で選手個人名が出て来ています。

その一方で、2ヶ月前という世界の常識ではありえない決定をした田嶋JFA会長には責任が及びません。相変わらず実に汚い言動です。
メディアの前で選手を非難する監督が尊敬されないように、サッカーファミリーを護らなければいけないJFA会長が選手へ責任を転嫁することを許すことはできません

大仁邦彌→原博実→霜田正浩

このような常識ではあり得ない事態になった原因は、ハリルホジッチ監督を呼んだ協会関係者が全員いなくなってしまったからです。
ヴァヒド監督は、大仁邦彌JFA会長の元、原博実技術委員長と霜田正浩氏が人選と交渉を行い日本代表監督に招きました

その後、2016年大仁会長の任期満了に伴う会長選で原氏は田嶋氏に負けてしまいました。
会長に就任した田嶋氏は、あからさまな降格人事で原氏と霜田氏を協会から追い出しました
ヴァヒド監督からすれば、信頼していた大仁会長と原氏、霜田氏が一度にいなくなってしまったので不自由になったはずです。

しかし、ヴァヒド監督はプロとして日本代表監督の仕事を進めていきました。
でも、W杯本大会から逆算してチームを作っているのを理解してくれる協会関係者がいなくなり、逆に敗ける度にメディアで解任論が出るようになりました。
解任論の出所はJFA田嶋会長派のリークなのは確実。そして、それらはすべて今回の解任につながっています。

古河派閥が日本サッカーのガン

今回のヴァヒド監督解任は、JFA内の派閥抗争です。
古くからのサッカーファンなら知っていると思いますが、大仁氏、原氏は三菱重工(三菱自動車)出身。一方の田嶋氏は古河電工出身です。
アマチュア時代からJFAは、三菱、古河、日立の丸の内御三家が持ち回りしていました。当時はアマチュアでしたので、大企業の丸の内御三家企業の出向に頼るしかなかったのが実情でした。
その後、プロ化になり予算も増えたお陰で会長もボランティアではなく給与制になりました。それ自体は良いことですが、組織が大きくなったため権力も強くなりました。

そのデメリットが出たのが川淵三郎会長の時代です。
権力欲の強い川淵氏は実績ではなく、個人的な好き嫌いで評価し人事を思うままにして独裁政権を樹立しました。
例えば、Jリーグ誕生に大きな貢献をした木之本興三氏を不当な扱いにし協会から排除しました。
その結果、協会に残ったのは川淵氏のイエスマンだけです。
そして、今度は田嶋氏。
川淵氏が木之本氏に行ったように、田嶋氏は原氏、霜田氏に不当な人事を行いました。
ちなみに、川淵氏、田嶋氏は古河電工出身です。

このように見ていくと協会がまともなのは三菱出身の会長の時(犬養氏、大仁氏)で、古河出身の会長の時(川淵氏、小倉氏、田嶋氏)は組織が腐ってきているのがハッキリしています(アマチュア時代の長沼氏除く)。

歴史にIFはありませんが2016年の会長選で原氏が当選していたら、協会も日本代表チームも大きく違っていただろうと思えるだけにまことに残念でしかたありません。

西野朗技術委員長が新日本代表監督に…

西野朗日本代表新監督会見
西野朗日本代表新監督会見

ヴァヒド監督解任に伴い、新しい日本代表監督に西野朗氏が就任すると田嶋会長から発表がありました。
ヴァヒド監督時代の強化委員長がスライドして新しい日本代表監督??

世界の常識としてあり得ないでしょう!

ヴァヒド監督ではW杯本大会で結果が出ないとの判断で解任するのなら、それをサポートしていた技術委員長にも同様の責任があるはずです。
それなのに、新しい日本代表監督??
その上、2ヶ月しかない状況で、新しい日本代表監督は、

現場から2年も離れている
A代表監督経験がない

です。
どのように考えても、西野氏を抜擢する理由付けが見当たりません。

田嶋会長は、ヴァヒド監督でW杯本大会を迎えるよりも1%でも2%でも可能性を上げるための決断との話でした。
でも、西野氏って20数年前のU-23でしか代表監督の経験がありません。
しかも、当時の中田ヒデなどの選手とぶつかっています。つまり、U-23代表選手もコントロールできなかったのです。
Jリーグ監督では実績があると言われていますが、それもガンバ大阪時代だけ。
シーズン途中で就任した名古屋、神戸ではまったく結果を出せず途中で解任となっています。

そのような監督がW杯本大会を経験したヴァヒド監督よりも1%でも可能性をアップさせることができると考える理論的説明が欲しいところですが、残念ながら田嶋JFA会長からも西野氏からもありませんでした
逆に、12日に行われた新日本代表監督の会見で西野氏は心配な言葉しか発することができませんでした。

日本人に合ったサッカー

その結果が2014年ブラジルW杯の惨敗。その反省からアギーレ監督、ハリルホジッチ監督が就任したのを忘れているのでしょうか。

みんなで一致団結して結果を出す

世界のサッカーは物凄い勢いで戦術の言語化、データ分析で進んでいます。
その時代に戦術を述べることができず精神論で戦うだけの監督なんて期待する方が無理です。

当初から期待はしていませんでしたが、予想以上に西野氏の就任会見から得られる物はありませんでした

過去長いこと日本代表を応援してきましたが、今回の解任はジーコ監督就任と同じレベルの挫折感です。
また、日本代表の試合はなるべくスタジアムで観戦してきました。
でも、5月横浜国際競技場で行われる壮行試合には行かないつもりです。
なぜなら、この解任に納得できないからです。いちサッカーファンとして、それがささやかな抵抗です。

ロシアW杯本大会ではイラン代表を応援

日本代表に期待できなくなったロシアW杯本大会。
そのため、ロシアW杯本大会では日本代表の次にアジアで好きなイラン代表を応援するつもりです。

前回2014年ブラジルW杯でもイラン代表には期待していましたが残念ながら結果が伴わないませんでした。
しかし、あれから4年間。代表監督を代えず強化していましたので、ブラジルW杯で発揮できなかった実力をロシアW杯本大会で見せてくれることを期待しています!