前回の記事のように「Dropbox」の改悪を受けて「iCloud」への乗り換え可能か否かを調べました。
まず、現在「Dropbox」で使っている機能を洗い出しします。
それを洗い出した上で、その機能が「iCloud」でも搭載されているかを検証します。
「Dropbox」で使っている機能を書き出すと、
データの同期
テキストの同期
WordPressのバックアップ
でした。
データの同期
クライドストレージサービスの基本ともいうべきデータの同期。これは、問題ありません。
私が使っているのは、「Mac mini」と「iPhone SE」、「iPad Air」。「Apple」製品でまとまっているので「iCloud」とは相性が良いのは当たり前です。
手順も「Dropbox」から「iCloud Drive」にデータをコピー&ペーストするだけ。難しいことはありません。
テキストの同期
想定外だったのはテキストの同期でした。
「iCloud Drive」内のiOS端末側ではテキストデータは、表示はできるものの書き換えができない仕様でした。
正直、驚きました。
Steve Jobs氏がCEO時代からこれからはクラウドの時代になると言っていました。
それなのに何故か、いまだに「iCloud Drive」内でテキストを書き換えという単純な許さないとは…
サードパーティーのアプリでは可能になっているので「iCloud Drive」の仕様で不可能になっているわけではありません。
こんなところに制限をかけてもAppleに何のメリットもないだろうにと思っています。
「Dropbox」では有料アプリ「Wrix」をiOS端末にインストールし、この問題を解決していました。
「Wrix」は便利で気に入っているアプリです。しかし、残念ながら「Wrix」は「iCloud」に対応していませんでした。
また昨年5月、「Wrix」の作成者とAppleがトラブルになり、「Wrix」が「App Store」で販売できない事態になりました。
トラブル発生から半年過ぎましたが、復帰する気配はありません。作成者も書かれているように将来的にもかなり難しい状態との事。
「Wrix」は気に入っていたアプリでしたが、このトラブルの経緯を考えたら代替えを探す必要性も感じていました。
「Dropbox」から「iCloud」に乗り換えるのが良い機会と思い、別のアプリを探すことにしました。
しかし、何種類かアプリを試しましたが、フィットするものが見つかりません。
試したのは下記のアプリです。
いずれも評判が良いのでインストールしたのですが、私が希望している仕様とは違っていました。
その後、見つけたのが「Textor」。
最初、「AAPL Ch」ブログで紹介されているのを見つけました。興味を持ち「Textor」で検索して調べるとかなり評価が高いアプリでした。
早速、「App Store」で「Textor」と検索してインストール。試しで使ってみると確かにかなり良い印象です。
でも、ちょっとオカシイと気付いたのはまもなく。
オープンソースで無料とブログでは紹介されていたのに、「App Store」では「App内課金」になっています。
また、起動する毎に全面にGoogleの広告が数秒強制的に表示されます。
オープンソースでも、その後に「App内課金」になることはあるかもしれませんが、起動ごとに強制的に広告を数秒間表示させるような仕様は考えられませんから疑問を持ちました。
「App Store」では「Textor」で検索し、アイコンが同じだったので気にしませんでしたが、そもそもアプリの名前が違いました。
私がインストールしたのは「Textor」ではなく「Text Editor: Plain Text Editor」となっています。
さらに、詳しく見ると販売元とリリース日が違います。
疑惑が大きくなってきました。
そこで、「Textor」を紹介していた「AAPL Ch」の管理者の方へ質問をしました。
すると、意外な返答が来ました。
断言できる理由としては、ここで紹介しているTextorの開発者Louis D’hauweさんは昨年Appleに入社し、その際に自身のアプリを全てApp Storeから削除しているためです。
ただ、LouisさんはTextorやOpenTermといった自身がAppleに入社する前に開発したアプリをOSSで公開しているため、「Text Editor: Plain Text Editor」のようなクローンアプリが度々App Storeで有料公開されるという被害に遭っているそうです。
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つまり、パクリアプリだったということです。
パクリアプリを使うわけにはいきませんので、即削除しました。
昨今、「iTunes App Store」には、この手のパクリアプリが多く問題になっていますが、自分自身がそれに当たるとは正直思いませんでした。
「App Store」も「Textor」で検索のトップにパクリアプリを表示するというのはいかがなものなのでしょう。
作成者が「Apple」に入社したのが元でパクリアプリが作られ、それが「Apple」の審査を通り抜けているというのはなんとも皮肉です。
その後、バージョンが1.0.2になると名前が「Textor:TXT Markdown Notepad」と変わり、ますます本家と区別がつかなくなったままで販売が続いています。
パクリアプリなのでソースコードはそのままなはず。
それからすると「Textor」は私の希望にぴったりのアプリでした。
1年前に気付いていればインストールでき活用できたのに… 残念です。
結局、「Textor」に代わるアプリが見つかっていません。
「Dropbox」が即使えなくなるわけではないので、仕方がないので「Wrix」の代わり(「Textor」に代わり)になるアプリはジックリと探すことにしました。
マインドマップ
最近使い始めたマインドマップマップ。その「XMind 8」iOS版は「iCloud」にも対応していました。
「XMind 8」で作成したデータを「Dropbox」から「iCloud」に移した上で、「iCloud」データで同期を取り直すだけで設定が完了しました。
「WordPress」バックアップ
今、「WordPress」のバックアップには「UpdraftPlus Backup/Restore」プラグインを使っています。
残念ながら、このプラグインの保存先の選択肢に「iCloud」がありません。ということで、「WordPress」のバックには「Dropbox」を使わなければいけないことになります。
まぁ、「WordPress」のバックアップならアクセス端末は「Mac mini」1台で済むので、今後より一層「Dropbox」に改悪があっても影響は受けないと思われるので、そのままで運用することにしました。
「iCloud」の有料化
「iCloud」での運用の目処が立ったので、「iCloud」のプランを無料の5GBから月額130円の50GBプランに変更しました。
「Dropbox」が使用可能容量9.73GBに対して実使用5.78GBだったので50GBは十分過ぎる容量です。
私は、「iPhone SE」で撮影した画像は帰宅したら即「Mac mini」の「写真.app」に移しています。
そのため、ブログでよく書かれているような
「iPhone」で撮影した画像で「iCloud」の容量が圧迫
される可能性はありません。
そもそも、何故すぐに「Mac」にデータを移動しないか私には理解できません。
データをローカルに落とせば「iCloud」が「iPhone」の撮影画像でパンクになることはありません。
「Mac」なら容量1TBレベル。今時、外付けHDD3TBでも1万円しません。
「iCloud」の容量を増やすより安上がりです。
データ移行実行
「iCloud」の有料手続きが終わり、準備が整ったので「Dropbox」のデータを「iCloud Drive」に移行。
「Wrix」の代替えが残っていますが、それ以外は簡単に移行完了です。
「Wrix」はテキストデータなので容量はごく僅か。「Dropbox」のデータのほとんどは「WordPress」のバックアップデータだけになりました。
それにしても、クラウドがメインの時代に「Dropbox」がアクセス端末台数制限という真逆の施策をしてくるとは思いもよりませんでした。
それで失速したのが「Evernote」という前例があるにも係わらず実行した、現経営陣の判断に疑問を持ちます。
シェア的にも、信頼性でもクラウドストレージサービスでトップ評価だったはずです。
また、10年以上で築いてきたユーザーからの信頼が、このたったひとつの施策で無に帰しました。元に戻れないほど大きな信頼の損失です。
私的にも、過去の「Dropbox」ユーザーには戻ることはないと断言させる、今回の施策です。