あまりに大きなリスクの可能性
W杯アジア最終予選が1月27日と2月1日に「埼玉スタジアム2002」で開催されます。既にチケットは発売済みで、発表はされていませんがおそらく完売のはずです。
ところが、日本国内では1月に入りオミクロン株の感染が急増。W杯アジア最終予選が行われる1月下旬から2月にかけてはさらなる感染者の拡大が予想される状況。1月21日には「まん延防止等重点措置」が1都3県にも適用されました。
この状況を見て日本サッカー協会(以降、JFA)は急遽、W杯アジア最終予選の開催において「ワクチン・検査パッケージ」を適用するとのリリースを発表。私はこの発表に大きな違和感を持ちました。
現在、感染者数は過去最多を更新(1月22日は全国5万人を突破)。1年前無観客で開催していた状況よりも悪化しています。それなのに、観客を入れて開催するというのは1年前の実施理由との整合性が取れません。
今回何故、無観客での開催しなかったのかは、昨年JFAが「COVID-19」による日本代表戦の親善試合の中止、観客入場の制限などにより大幅な赤字になったとの報道で推測できます。
つまり、JFAは今年、昨年のような観戦者優先による大幅な赤字経営をしないことを決定したのです。そのためドル箱の日本代表戦の入場制限をしないことにしたのでしょう。
しかし、それはサポーターの安全を考えない無謀な決断です。
もし観客者から大量の感染者が発生した場合、日本サッカーが被るダメージはW杯本大会出場を逃す以上に大きなものになります。Jリーグが昨シーズンまで最大の注意を払いながら感染者ゼロを達成した努力も帳消しです。JFAの経営改善という短期間の目的のため日本サッカーを消滅させるかもしれない決定の責任は田嶋会長の辞任だけで済む問題ではありません。
「ワクチン・検査パッケージ」の矛盾

急遽対応することになった「ワクチン・検査パッケージ」制度についても考えてみます。
そもそも、ワクチン接種は感染時の重症化を防ぐだけで、感染自体を防ぐわけではありません。ワクチン接種を行っても「COVID-19」に感染するし、他人に感染させる可能性はワクチン未接種と同じ。政府やメディアは、ワクチン接種が「COVID-19」の感染防止の唯一の手段と世論を誘導して来ましたが、それこそフェークニュース!
過去最大の感染者が出ているこの状況でもイベント開催を行うなら、最低限徹底させることは観戦者全員に「陰性証明書」を要求することです。
「陰性証明書」の有効期限は検査日を入れて3日間。つまり、少なくとも3日前までは陰性だった証明になります。一方、ワクチン接種証明書は、ワクチンを接種した証明だけで陰性証明にはまったくなりません。「ワクチン接種証明書」だけで開催するということは6万人近くのサポーターに感染のリスクを負わせることに他なりません。
さらに現場の対応を考えても、6万人もの観戦者に「ワクチン・検査パッケージ」の規定されている確認チェックを短時間で行うことが可能なのでしょうか?
昨年「ワクチン・検査パッケージ」を行った際は1万人でした。今回実行するのはその6倍。人員と作業の手間は膨大になります。まして今回の試合は平日なので勤務が終わってから駆け付ける人が多いはず。より短時間での作業が必要になります。
まともにチェックをしたら1時間も前に着いたのに検査の行列が長く試合開始に間に合わなかったというような事例が発生しそうです。入場を間に合わせるためには「やった感」だけのザルチェックで済ますことになります。
「ワクチン・検査パッケージ」の見直し
その後、政府は感染拡大が収まらないため「ワクチン・検査パッケージ」の見直しという新しい提言を出すことになったようです。ワクチン接種では新規感染は減らないので、今後開催されるイベントではすべての観戦者に「陰性証明」を義務付けるとの内容です。
「ワクチン接種では感染者が減るわけではない」という当たり前な事をやっと認める方向になったようです。
しかし、既にチケット販売しているイベントは対象外になるようなのでW杯アジア最終予選には適用されでしょう。
感染中止を決断

私は1月27日と2月1日のW杯アジア最終予選のチケットは後援会枠から入手。チケットを購入した昨年末時期では、感染者が少なかったので不安はありませんでした。しかし、年明けから予想以上の急増。しかも、今回のW杯アジア最終予選は昨年までの上限1万人や2万人で前後左右1席空きではなく100%入場です。
年末・年始のイベントの影響で年明けには感染者が増えるとは予想していました。その場合、2週間後がピークでその後感染者は徐々に減って行きます。20日頃から感染者の減少が見られれば、それから1週間後の27日はかなり収まるはずなので観戦可能との予想でした。しかし、20日を過ぎても収まるどころか依然増え続けています。
「ワクチン・検査パッケージ」の見直しで全員の「陰性証明」必須との情報が出た際には、「ワクチン・検査パッケージ」より安全なのでW杯アジア最終予選の観戦は安心と考えていました。しかし、政府は「ワクチン・検査パッケージ制度」の停止は表明しましたが、既にチケット販売したイベントには適応しないためW杯アジア最終予選は100%入場で開催です。
以上のような状況を踏まえるとW杯アジア予選の観戦は大変大きなリスクがあることは事実。観戦した本人は無症状か軽い症状だとしても濃厚接触で感染した家族なども軽症とは限りません。重症化する危険性は否定できません。
よって私は今回、感染を理由として観戦中止を決断、チケットの払い戻しをすることにしました。