前回に「CORESERVER V2」への移行の悪戦苦闘をレポートしました。
ここから、やっと本題の「Nextcloud」のインストールが始まります。
長かった…
豊富な簡単インストールのソフトウェア
そもそも「CORESERVER V2」には、登録されているソフトウェアが148個もあります。サーバーのスペック以外に、これが「CORESERVER V2」の大きな特徴でもあります。

有名どころの「WordPress」や「Movable Type」、「Xoops」は同然として、「MODX」があるのには驚きました。
この「MODX」。「WordPress」や「Movable Type」のとほぼ同時に登場した「CMS」ですが、知名度、普及率はイマイチではなくほとんど無名に等しいソフトウェア。
「WordPress」や「Movable Type」がデザインを変更する場合、配布されているテーマを使うしかなかった中で、「MODX」は「CMS」なのにHTMLの手打ちのような方法で自由なカスタマイズが売りでした。
しかし、簡単にブログを作りたいという流れの中で手打ちでのカスタマイズ性に魅力を感じるユーザーは多くなかったようで、リリース初期から現在までシェアを取るには至りません。
また、当時の私は手打ちでのブログ構築が好みだったので、「MODX」に魅力を感じましたが試用以上追いかけることはしませんでした。
148個のソフトウェアの大半は私の知らないソフトウェアばかりですが、「CORESERVER V2」が簡単にインストールできる環境を整えて暮れているので、今後積極的に利用する機会を作りたいと思っています。
インストール
「Nextcloud」のインストールも簡単でした。手順は下記の通り。


「CORESERVER V2」の「コントロールパネル」を開き、左側のメニューから「ツール」内の「アプリインストール」を選択。
ソフトウェア一覧は「コミュニティ」、「コンテンツ管理」、「電子商取引やビジネス」、「写真やファイル」、「調査・統計」、「その他」と分かれています。
「Nextcloud」は、「写真やファイル」の2番目にあります。「Nextcloud」をインストールする過程で入力するのは、「ロケーション」項目の「インストール場所」、「設定」項目で「管理者ユーザー名」と「管理者パスワード」だけ。
驚くほど簡単。データベースを意識することはありません。

一般的にデータベースを伴った「CMS」などをインストールする場合、面倒なデータベースの設定が必須です。このため、初心者がインストール途中でのトラブルに遭遇した場合、解決方法を見つけるのが難しくなるので、これらのソフトウェアを敬遠する要因となっています。
その点、「CORESERVER V2」からのインストールは必要最低限の設定だけ。初心者でもつまずくことがないような設計になっている点は大いに評価できます。

インストール作業後、「コントロールパネル」の「ツール>アプリインストール」の「マイ・アプリ」と「コントロールパネル」の「データベース>MySQL(MariaDB)」に該当ソフトウェアのデータベースが構築されていれば無事インストール完了です。
「M1 Mac mini」環境で設定

「マイ・アプリ」の「Nextcloud」画像の右にあるインストールURLをクリックするとブラウザーが開き「Nextcloud」のログイン画面になります。インストール時のユーザー名、パスワードでログインします。

無事にログインしたら、最初に表示されるのが「ダッシュボード」画面です。左上のメニューには「ダッシュボード」、「ファイル」、「写真」、「アクティビティ」のアイコンが並んでいます。
クラウドストレージとして使うので「ファイル」をクリックし表示します。「ファイル」には既に「Readme.md」というテキストデータや「Photos」ファイルがあります。これらは、マニュアルやサンプル画像なので気になるなら後で削除しましょう。
ブラウザー経由よりデスクトップクライアントの方が使い勝手が良いので、「Nextcloud」インストールページから「macOS」用デスクトップクライアントをダウンロードします。私は「M1 Mac mini」なので「macOS 10.14+, 64 bit (universal)」が該当ファイルです。
デスクトップクライアントを使えば、ローカルのフォルダーと同じ感覚で作業しながら「Nextcloud」サーバーと「M1 Mac mini」を常に同期させることができます。
まず私は、「Dropbox」から移行するつもりなので、「Dropbox」にあるデータをドラッグ&ドロップで「Nextcloud」に移動しました。これで、「Dropbox」で行っていた作業が「Nextcloud」で引き継ぎできる環境となりました。
別端末での設定

「M1 Mac mini」での1週間ほど使いましたが「Dropbox」環境と違和感なしで作業できました。ファーストレビューの印象は問題なしでした。
次に検証したのは、「iPhone」や「iPad」などのモバイル端末と「Windows」環境での操作感です。今まで多くのクラウドストレージがこの点で操作感の低下があり「Dropbox」に代わるに至りませんでした。
その「Dropbox」の使い勝手を「Nextcloud」が超えることができるかがポイントです。
「Nextcloud」は「macOS」、「Windows」、「Linux」の他、モバイル端末の「iOS」、「Android」と幅広く対応しています。
今回は、モバイル端末として「iPhone 11 Pro」と「iPad 2018」に、また「Windows」端末として会社の「Windows 11」にもインストールし、使い勝手をチェックしました。



「iPhone 11 Pro」と「iPad 2018」は、「macOS」と同じユーザーアカウントでログイン、「Windows」端末は「共有設定」にして別アカウントでログインする仕様にしました。
「iPhone 11 Pro」と「iPad 2018」では、ダブルタップでテキストが表示されませんでした。

そこで、「Nextcloud」にあるテキストファイルはテキストファイルを長押しし「アプリで開く…」から「LiquidLogic」という有料のテキストエディタを選択するようにしました。
元々「iPad 2018」では、「Dropbox」のテキストデータで入力作業をするには「LiquidLogic」を使っていたので同じ環境です。開くには少々手間がかかるようになりますが、入力後の保存は「Dropbox」同様瞬時に同期できるので大きな不都合はありません。
共有設定
「Windows 」環境は、会社PCなのでプライベートのデータは非表示にする必要があります。
そのため、「Nextcloud」の「共有」機能を使います。「Nextcloud」の「共有」設定は下記の手順で行いました。
新規ユーザー追加

まず、「Windows 11」環境用に新規ユーザーを追加します。
「M1 Mac mini」のブラウザーで「Nextcloud」を開き右上のユーザーアイコンをクリックし、「ユーザー」を選択。
左上の「+新しいユーザー」の下にある「+グループを追加する」で「Windows 11」環境用のグループを作ります。
次ぎに、「+新しいユーザー」からユーザーを追加します。「ユーザーID」など所定の項目を記入。「ユーザーをグループに追加」項目で先ほど作った「Windows 11」環境用グループ名を指定します。
「File access control」を使う
「共有」設定のための2つのアプリを有効化します。
「M1 Mac mini」のブラウザーで「Nextcloud」を開き右上のユーザーアイコンをクリックし、「アプリ」を選択。
一覧から「File access control」を探し有効にします(既に有効になっていたらそのままで)。
「File access control」は、ファイルへのアクセス制限をするアプリです。


「Files automated tagging」を使う
次ぎに、「Files automated tagging」を有効にします(既に有効になっていたらそのままで)。
「Files automated tagging」にタグを付けるアプリです。

左側のメニューの「設定」から「管理>基本設定」を選択。
「コラボタグ」から「新しいタグを作成する」で「Windows 11」環境用タグを作ります。右の選択は「公開」でOK。「作成」で新しいタグの作成が完了です。
「共有」設定
ここから「共有」設定です。
右上の「…」から「設定」をクリック。
「設定」画面の左側のメニューの「設定」から「管理>Flow」を選択。
「ファイルへのアクセスをブロック」があるのでそこの「新しいフローを追加」をクリック。
「設定済みフロー」が出たら希望する「ファイルへのアクセスをブロック」設定を記述します。
今回のように、あるひとつのフォルダだけアクセスさせ、他のフォルダをアクセス禁止で非表示にしたい場合は、
かつ ユーザーがグループのメンバーかどうか が次のグループである 「Windows 11」環境用グループ
かつ ファイルシステムタグ に次のタグが付いている 「Windows 11」環境用タグ
となります。

上部の一覧から「ファイル」を選択。
「ファイル」一覧から「Windows 11」環境で使うフォルダーの「…」をクリック。メニューから「詳細」を選択します。「詳細」項目から「共有」を選択。
「共有」タグの下の入力スペースに「Windows 11」環境用ユーザー名を追加します。
また、右上「…」をクリックし出てきた「タグ」から「Windows 11」環境用のグループ名を選択します。

以上で、ブラウザーからの設定は完了です。後は、「Windows 11」PCでの設定になります。
正直、共有設定は「Dropbox」の方が簡単です。
「Dropbox」は、相手に共有するフォルダのリンクをメールなどで知らせるだけ。「Nextcloud」で面倒な「File access control」や「Files automated tagging」の事前設定は必要ないからです。
「Windows 11」PCでの設定
まず、「Windows」用ソフトウェアを「Nextcloud」Webサイトからダウンロードし、インストールします。
インストールしたソフトウェアを開きます。「Windows 11」PCでは、追加した「Windows 11」環境用ユーザー名とパスワードでログインします。
「共有」設定が正しく行われていれば「File access control」で許可されたファイルが表示されるはずです。
もし、すべてのファイルが表示されてしまった場合、「共有」設定を見直してください。
ここで、「Dropbox」と少々違う仕様があり気になりました。
「Nextcloud」はログインすると「共有」フォルダ以外に「Readme.md」というマニュアルや「Photos」ファイルにサンプル画像が存在します。
共有したフォルダだけ表示してくれれば良いのに、関係のないフォルダやファイルがあると少々目障りです。まぁ、削除してしまえば良いのですが、PCの知識のない相手と共有する場合、「このファイルやフォルダは何?」となる可能性もあるので心配な点でもあります。
さて、「Windows 11」PCでの動作を確認したところ、同期も瞬時に完了しています。
1週間ほど「M1 Mac mini」と「Windows 11」PCとの間でデータのやり取りをしましたが、不具合は発生せず安定した動作を示しました。
「Dropbox」に引けを取らない使い勝手、および「Dropbox」からの乗り換えに十分対応できる印象を得ました。
まとめ
「Nextcloud」は、予想以上に満足できる使い勝手でした。
オープンソースということで、多少我慢しなくてはならないシーンが出てくると思っていましたが、そんなことはなく「Dropbox」に十分対抗できるクラウドストレージとの評価です。
やっと、制約のある「Dropbox」から離れられるクラウドストレージを見つけたとの感想です!
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