北中米W杯の横暴に対して米国を指導できないFIFA・インファンティーノ

FIFA・インファンティーノ会長会見 Football

6月12日、いよいよ2026年北中米W杯が開催されました。通常では期待感に溢れている時期です。
しかし、今回のW杯はかなり様子が違います。大会前にあった期待感が急速に消滅した感が否めません。
原因は、米国・トランプ政権の横暴な処置。これに対してFIFAがまったく対応していないのがより問題を複雑化させています。

政治的な緊張が拡大

まず、大会前にどのような事象が発生したのかを整理してみましょう。

昨年アジア最終予選でイラン代表が本大会出場を決めました。
ところが今年2月29日、米国とイスラエルがイランに対して一方的に戦闘を開始。米国はイランとの紛争解決のための交渉を行っていた最中、宣戦布告もせずイスラエルと一緒になり攻撃を開始したのです。
当然イランは自衛的な反撃で対抗しました。

戦闘開始当初、私はイラン代表がW杯をボイコットする可能性があると考えました。
正当な理由もなく宣戦布告もない攻撃でしたし、戦争相手国が開催地となっているのでイラン代表がボイコットをすることは十分な理由となります。
しかし、イラン代表は思い止まり参加を決断しました。これは勇気のある決定です。
イラン代表がW杯参加を表明したことでW杯開催に関する大きな懸念事項は解決したと思いました。

ところが、W杯開催間近になると米国・トランプ政権のごり押しは止まらず逆に頻発することとなりました。
まず最初に話題となったのが、イラン代表が予定していた米国アリゾナ州ツーソンのベースキャンプ地の利用が拒否されました。
イラン代表は予選グループの3試合とも米国で行われます。当然キャンプ地は米国内を予定していました。それを米国が拒否したのです。
そもそも、キャンプ地はFIFAが候補を上げその中から選択します。つまり、FIFAが許可した場所を米国が拒否したことになります。
そもそも、この時点でFIFAは米国の拒否決定を取り消しさせる必要がありました。しかし、FIFAは何の対応もしませんでした。
幸い、メキシコ政府が即日にメキシコ国内での代替地を提供したのでキャンプ地未定問題は解決はしました。
しかし、米国内の試合会場までの移動が長距離になり選手への負担は増えることは確実です。

米国のこれだけに嫌がらせは留まりません。
試合前と試合後の米国内での宿泊も認めないとの通知をしました。
通常代表チームは試合前に試合会場の近くに宿泊し、前日練習を行い、当日の試合に臨みます。
米国政府は代表チームが行う通常の日程を許可せず、試合当日に入国して、試合後はすぐに出国するという無理難題を通告しました。

さらに、選手は米国への入国許可しましたが一部のチームスタッフの入国を認めないと嫌がらせを続けました。
これだけ嫌がらせを受けても参加の姿勢を崩さないイラン代表チームの選手、スタッフには尊敬しかありません。
個人的にはイラン代表はボイコットをしてトランプ・米国政府とFIFAの理不尽な対応を世界に知らしめる方が将来のサッカー界の改善する切っ掛けになるかと考えています。

さらに、米国・トランプ政権の傍若無人な振る舞いはイラン代表チームだけに留まらなく嫌がらせが頻発することになります。
イラク代表チームのフセイン選手は入国管理局で7時間も尋問されました。
また、ウズベキスタン代表、セネガル代表が入国した際の保安検査で明らかに差別的なボディーチェックや荷物検査が行われました。
W杯参加チーム関係者はFIFAが許可した団体なので入国の際のチェックは最低限のはずです。それを米国・トランプ政権は無視です。この時の映像はSNS等で拡散されています。
このように一部の国に対してだけ異常なほど執拗なチェックを行うのは別の意図があると指摘されてもしかたがありません。

さらに、米国はアフリカ・ソマリア人オマル・アルタン審判に対しても入国拒否を行いました。
W杯で審判する人選は事前にFIFAが行います。その選抜テストは厳しいもの。つまり、審判にとってもW杯は選び抜かれた後に辿り着ける一流審判の証明です。さらに、アルタン氏はアフリカ最優秀審判も受賞した審判です。
FIFAが選抜した審判をサッカーを知らない素人の米国の入国審査局が入国拒否・強制送還したのです。

さらに、米国の拒否はW杯参加チーム関係者だけに留まりません。
イランを始めコートジボワール、セネガルなどのサポーターへのビザ発給拒否も発生しています。

FIFA傍観

もう、米国・トランプ政府のやりたい放題、何でもありの状態です。
でもある意味、トランプ政権ならあり得ると考えられる事例なので事前に対策できたともいえます。

そして、本来ならFIFAがこのような行動に関して警告を発すべきなのです。
しかし、FIFA・インファンティーノ会長は傍観しているだけ。いわば、レッドカードを出すべきところイエローカードも出していない状況です。

私は1970年のメキシコW杯から観戦していますが、今まで開催国が参加チームやサポーターに対して入国拒否したことを聞いたことはありません。
西側諸国が問題視したロシア大会でもカタール大会でもこのような事象はありませんでした。事実、AIに聞いても過去に参加チームを拒否した事例はないとのことなので私の記憶に間違いはありません。

そもそも、FIFAは開催国に対して「すべての参加国の選手・スタッフ・審判・サポーターが入国できること」を開催条件として求めています。
事実、2023年U-20W杯では当初開催国のインドネシアがジェノサイドを行っているイスラエル代表チームの参加拒否を行った際には、即座に開催国剥奪をし別の開催国で大会を行っています。

しかし、今のインファンティーノ会長は傍観。記者会見で記者から質問されても「落ち着いて」というだけで、ことの重大性を感じていないようでした。
理由は明白、米国開催で膨大なお金が動いているからです。
ましてや、欧州ではなくアジアやアフリカが対象なのでお金を守るためならこの不都合は見てみないことにしようとの保身が動いていることは確かです。
欧州も日頃は「人権」を声高に発していますが、それがダブルスタンダードだということはBRICSを始めとしたグローバルサウスの台頭により明白になって来ているのが昨今です。

まとめ

「歴代最強」といわれ期待が高まっていた日本代表を有した2026年北中米W杯。楽しみにしていた私も、参加国やサポーターに対するこれら米国・トランプ政府の弾圧と金に目をくらんだFIFAのせいで急速にW杯に対する興味が低下するのを感じています。

また、W杯開催に関する重大な違反行為が行われているのに日本のメディア(新聞、テレビだけでなくフリーのサッカーライターも含め)はひと言も非難のコメントを発していません
これにはガッカリです。
サッカーの根幹が侵されている事象です。戦術論や対戦相手分析などよりも積極的に取り上げるべきです。
私が見た範囲でこの事象に対して苦言を呈しているのはイングランド人でDAZNなどで解説をしているベン・メイブリー氏だけでした。
ベン氏の「YouTube」ではこの問題を適格にまとめています。
是非、閲覧ください。

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