12月16日、突然日本発SNSの「mixi2」がリリースされました。
事前の噂もなく突然の登場です。IT系ライターも驚いていたので、業界関係者にも事前告知がなかったようです。
当日はIT系ニュースや「Twitter(現「X])」でも盛り上がりました。
私は、話題に便乗ではなく「mixi2」に期待が持てそうだったのでリリース当日に即インストールしました。
そこで今回は、「mixi2」を実際に数週間使っての感想を記します。
「Twitter」の代替えが見つからない現状
「mixi2」が登場した背景には、「Twitter」への不満があることは確かです。
「Twitter」への不満はイーロン・マスク氏が買収する前からありました。
「Twitter」社は熱心なユーザーからの改善要望に取り組まず、逆に改悪を繰り返し不満を蓄積させていました。
そのような「Twitter」をイーロン・マスク氏が買収。
その後、大規模なリストラなどもあり、今後は「Twitter」社自体が大混乱。
また、イーロン・マスク氏が行う「Twitter」の改革もユーザーの支持を得られず、「Twitter」を離れたいとの声が拡大する一方でした。
この混乱に乗じて、「Meta」や「Microsoft」などIT大手だけでなく、分散型SNSとして「Mastodon」「Bluesky」などが登場しました。
しかし、「Twitter」の代替えを提供してきたのが私の嫌いな企業ということ、また「Meta」や「Microsoft」の中央集権型SNSでは「Twitter」と同じ未来しか見えないと乗り換えに興味が湧きませんでした。
そこで私は、「Mastodon」や「Bluesky」にアカウントを作りました。
しかし、これらのSNSでは日本ユーザーが増えませんでした。オープンソースだったことや企業の知名度が低いことが影響したのでしょうか。
SNSはユーザーがいてこそのプラットフォーム。ユーザーがいなければコミュニティーも広がりません。
初速は遅かったが時間の経過と共にジワジワと拡大することも期待したのですが、その兆候も見られず、そうこうしていくうちに話題性も低下し、一部のコアユーザーだけが使う埋もれたSNSとなってしまいました。
そもそも、「Mastodon」や「Bluesky」などを紹介したIT系ライターなどもm「Mastodon」や「Bluesky」で活動し始めなかったのも意外でした。
結局、「Twitter」への不満は蓄積する一方で、代替えが見つからない状況が続いていたのです。
「mixi2」の登場で空気感が変わる
このような中、すでに過去のサービスであると考えていた「mixi」から次世代バージョンを彷彿とさせる名称で「mixi2」が登場したのです。
「mixi2」の一番の特徴は「Twitter」と同じタイムライン仕様となっていることです。
「mixi」がコミュニティ中心だったのに対して「mixi2」がタイムラインを採用したことからも、「Twitter」からの乗り換えを狙ったSNSなのは間違いありません。
また、タイムライン以外に「コミュニティ」機能を搭載したのは、廃れたとはいえ「mixi」の特徴だったコミュニティを再構築したとの意図もあったはずです。
同時に、「Twitter」の殺伐とした空間ではなく健全で安心感のある居心地の良いコミュニティを願っているのは、繰り返される「MIXI」社からのコメントなどに現れています。
例えば、返信コメントで表示される下記のコメントに現れています。
また、「MIXI」の紹介文の中でも、
とあります。
「Twitter」初期には「朝食なう!」などのようにほのぼのとした雰囲気だったのが、次第に殺伐とした言論空間になってしまった二の舞いにならないようとの開発者として気を使っているのを見て取れます。
予想外に多くのユーザーの参入
「Mastodon」「Bluesky」では日本ユーザーが予想外に少なくコミュニティが成立していていないことはすでに記しました。
「mixi2」にも同様の懸念がありましたが、これは良い方向に裏切られました。
16日のリリース当日から翌17日にかけ、多くのユーザーが「mixi2」にアカウント登録をしたのです。
これは、タイムラインが活性化したことからも明白でした。
また、IT系ライターやニュースサイトがこぞってアカウント登録したのも「Mastodon」、「Bluesky」では見られなかった動きです。
リリース翌日には多くの「コミュニティ」が出来ていてすでに数千人が参加しているコミュニティが存在するまでになりました。
この盛況さは、23日に「MIXI」社から「登録利用者数120万人を突破」とのリリースが発表されたことで数字的に証明されました。
私的には、「Mastodon」、「Bluesky」で起きなかったアカウント登録者数の爆発が何故起きたのか不思議でした。
現時点で私が想像する理由としては2つあります。
ひとつ目が、日本企業のリリースだったことです。
「mixi2」は20年前に「mixi」で一世を風靡した会社からリリースされたSNSであり、若い人には2013年リリースしされた「モンスターストライク」の会社です。
この実績と信頼性がアカウント登録を躊躇させなかった理由なのでしょう。
「Mastodon」や「Bluesky」はIT系に詳しいユーザーならの設立の経緯から決して怪しい企業ではないと知っています。しかし、一般の「Twitter」ユーザーには「Meta」や「Microsoft」ほどの知名度がない上、海外企業なので胡散臭い感があるのは否めません。
2つ目は、インターフェースが日本人に馴染む点も見逃せません。
例えば、「エモテキ選択」や「よく使うリアクション」です。
海外のSNS開発企業なら最初は基本機能だけに絞り、徐々に機能を追加する方法を取ります。リリース時に余分な機能を搭載するのはトラブルのリスクが高くなるだけなので避けるのが常識です。
でも、日本ユーザーにとっては、これら遊び心がある機能は基本性能と同様に登録へのモチベーションを上げる機能でもあります。
「エモテキ選択」は投稿のテキストが跳ねるなど動きを与えます。
文字を大きくするのはあるとしても、テキスト文字が動いたり「キラキラ」や「どきドキ」文字が画面に現れたりするギミックは実に日本的。
リリース直後のSNSに必須機能ではないのに搭載。海外SNSにはできない発想です。
「よく使うリアクション」は、絵文字です。
返信時に絵文字を使うのは現在ではあたりまえ。ただ、そこに「がんばれ」や「おつかれ」、「愛」など日本語で気持ちを伝えることができるのは見たことがありません。
いずれも、基本機能ではないので初期バージョンに搭載しなくても文句は出ません。
トラブルが発生するリスクがあるのに、あえて搭載するのはユーザー同時でのコミュニケーションを活発化させようとの狙いがあると考えられます。
同時に「がんばれ」や「おつかれ」、「愛」などがあるコミュニティを構築することで乱暴な言動がしにくい空間を構築するという「MIXI」社の思いも感じられます。
リリース後の対応が迅速
登録が必要なサービスでは、リリース直後登録者が殺到しサーバーがダウンするケースは過去に多々ありました。
期待をして登録手続きをしたのにサーバーダウンで利用できないのは最悪です。期待で高ぶった気持ちを萎えさせてしまい、その後の利用頻度や登録者の減少を招いてしまう恐れがあります。運営側としては絶対避けたいところです。
「MIXI」社は「mixi」運営の経験があったためなのか、リリース直後登録者の殺到でサーバーがダウンすることはもちろん、不安定になることもありませんでした。
また、「mixi2」リリース当日、翌日の改善スピードが爆速でした。
リリース直後に使い始めると、いろいろと不満点が見えてくるもの。通常は「リリース直後だし仕方がないな。早めに改善してくれることを期待するわ」という気持ちになります。
ところが、今回「mixi2」は、その不満点を即座に改善。このスピード感には驚きました。
リリース当日、私が「mixi2」を使い始めて気付いた不満点のひとつが、「コミュニティ」がタイムラインに溢れてくるため個人フォロアーの投稿が埋もれてしまうことでした。
私が登録した「コミュニティ」にはリリース当日ですでに数十名から数百名のユーザーがいました。
これがひとつのタイムラインに流れれば個人フォロワーの投稿が埋もれてしまうのは当然です。
同様の感想は私以外でも持っていたようで「mixi2」や「Twitter」のタイムラインで同様の指摘を目にしました。
この不満に対して「MIXI」社は翌日には改善し解消! 仕事が早いと感心しました。事前にこの不満点を想定していたような素早い対応です。
「MIXI」社が行った解決策は「コミュニティ」をタイムラインから非表示する仕様を追加。
これにより、「ホーム」のタイムラインには個人フォロアーのみで「コミュニティ」のタイムラインは現れないようになりました。
「コミュニティ」の投稿は、画面下部の「コミュニティ」タブから閲覧することで不満が解消しました。
1アカウントで3ユーザーを切り分け
また、地味に嬉しかったのがひとつのアカウント登録で3つのユーザー名で運用できることです。
一般的なSNSでは、ひとつのアカウント登録で使えるのはひとつのタイムラインだけ。複数のユーザー名でサービスを使う場合、別々にアカウント登録をし使い分ける必要があります。
ところが、「mixi2」はひとつのアカウント登録で3つのユーザー名を使い分けられる仕様です。
プライベートとビジネスなどで使い分けるユーザーは、この仕様は使い勝手が良いでしょう。
「mixi2」は、個人フォロアー以外に「コミュニティ」というカテゴリーがあるので、個人フォロアーと「コミュニティ」の使い分けにもユーザー名の複数運用は便利です。
事実、私は、「コミュニティ」のタイムラインが個人フォロアーを埋没させたのを体験したので、個人フォロアーと「コミュニティ」をユーザー名で分ける使い方をしています。
ただ、この切り替えは、ユーザー管理画面上部中央のプルダウンから切り替えが必要なので少々手間です。
タイムライン画面から切り替えができると利便性が上がるので、今後の改善に期待します。
まとめ
以上のように、幸先の良いスタートを切った「mixi2」。
今後は、多くの登録者数を獲得し国内でメジャーなSNSになるかに注目です。
私の「Twitter」でのフォロアーで「mixi2」にアカウント登録をしたのはリリース後数日がほとんど。
リリース後数日過ぎてから「mixi2」にアカウント登録した「Twitter」フォロアーはほとんどいませんでした。
これは、「mixi2」に興味を持っている「Twitter」ユーザーは最初の1週間で「mixi2」のアカウント登録をしてしまったので、それ以外の「Twitter」ユーザーは「mixi2」に興味を持っていないとも言えます。
そうなると、リリース1週間で「登録利用者数120万人を突破」しましたが、その後の拡大に少々不安を感じています。
人の往来が多い年末年始を経て1ヶ月後の1月中旬、登録者数がどのように推移するのかを興味深く見ていきたいと思います。
なお、「mixi2」は緩いですが登録制になっています。「mixi2」のアカウント登録を希望している方は下記画像のQRコードから登録できますので、活用してください。
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